2016年4月8日金曜日

本 [ロボットの脅威] と [アメリカ大統領選挙]について思うこと

ロボットの脅威 人の仕事がなくなる日
マーティンフォード著 松本剛史訳 日本経済新聞出版社

この本の中で 言われ続けている.

雇用創出の減少、雇用なき景気回復の長期化、長期失業者の増大(p69)である。  

 また2014年5月アメリカの雇用なき回復の時期が終わりを告げた。しかし完全雇用が戻ってきたとしても、こうした職の質が大幅に落ちたという広い見解の一致がある。危機は何百万という中流階層の雇用を消し去り、その回復の過程で多くの雇用が生みだされたが、それは低賃金のサービス業界に偏っている。その大多数はファーストフードと小売り業界だったが、これまで見てきたように、この分野もいずれはロボティクスとセルフサービスオートメーションの進歩の影響を受ける可能性がきわめて高い。長期的な失業と、フルタイムの仕事に就けない人たちの数は、高いレベルのままだ(P336)

 所得の増加がない以上、下層の95%が支出を増やそうとすれば、さらにお金を借りるしかない。(P261)  私がここで主張しているのは理論上の話だが、格差が経済成長を阻害しうることを裏付ける統計学的証拠は存在する。(P263)  労働者は消費者でもあるということだ。(p269)

頂点にいる比較的少数の高スキルの専門職と起業家は、創造とイノベーションにかかわる仕事の大半に従事する。大多数の労働者は常に、比較的ルーティンな繰り返しの多い仕事に就いていた。... だが、ロボットや機械学習アルゴリズムをはじめとする自動化の波が次第に、職に必要なスキルのピラミッドを底辺から蝕んでいる。(p305)

 高スキルの職業は進歩するテクノロジーの射程に完全に入っている。(p260)


以上の問題はアメリカだけでなく日本にも、中国にも存在する。
アメリカと日本では社会保障の考え方がかなり違う。
日本には生活保護、公的な介護保険、医療保険がある。

 オバマ氏が大統領になるときには公的な医療保険がかなり争点になっていたように思う。今回の大統領選は 労働、雇用の問題、社会保障のあり方の問題が 争点となっているように思う。 新しい民主党の候補も新しい共和党の候補も、切り口は違うが 取り上げているものは 同じで 解決の方法、道筋が違うだけだと思う。 

高学歴、高所得になる夢は消え、普通に働けて普通の賃金がもらえる社会にしてほしいと願う人々の心をそれぞれの新しい候補がとらえているのだと思う。

日本では 社会保障が減らされていく傾向にある。しかし、未だしっかり機能していると私は思っている。

その反面 アメリカの低賃金の労働者、多額の借金を抱えた高学歴低所得の若者たちが直面している先行きの不安感を 日本に住む人が感じにくくなっていると思う。

 トランプ氏の奇異な発言やクリントン氏が負けたことを面白 可笑しく報道している。もっと問題は深刻だ。